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ギリシャの性風俗事情:独身であること、15日ごとの検査…世界でも厳しい「許可制の売春宿」

執筆・監修:Dr.Taro(性感染症内科医)|2026年10月9日

ギリシャでは、売春は合法で、国が管理しています。その歴史は古く、1834年には梅毒の流行を抑えるために、売春を管理する最初の法律が作られました。現在の制度は1999年の法律にもとづくもので、性的サービスは国の許可を受けた売春宿の中でしか認められていません。そして、そこで働く人には「独身であること」や「15日ごとの性感染症検査」など、世界でも類を見ないほど厳しい条件が課されています。この記事では、ギリシャの制度と、その建前と実態の大きなずれを、欧州議会の調査などをもとに解説します。

始まりは梅毒対策だった

ギリシャで売春を管理する最初の法的な枠組みができたのは1834年、梅毒の流行の影響を抑えるためでした。性感染症内科医として興味深いのは、この国の売春の制度が、そもそも性感染症対策として始まったという点です。売春を禁止するのではなく、管理して健康診断を義務づけることで、感染の広がりを抑えようとしたのです。

現在の制度:許可を受けた売春宿だけ

1999年の法律第2734号にもとづき、現在のギリシャでは、性的サービスは国の許可を受けた売春宿の中でのみ認められています。

働く人に課される厳しい条件

許可を受けた売春宿で働くには、セックスワーカー自身も個人の許可(3年間有効)を取る必要があり、その条件は非常に厳しいものです。

建前と実態のずれ

ところが、実際に許可を受けて営業している売春宿はごくわずかで、ギリシャの性産業全体のほんの一部にすぎないとされています。条件があまりに厳しいため、多くの人は許可を取らずに働いており、法律上は違法な売春が、実際には広く行われているのです。それでも、こうした違法な売春が実際に取り締まられることは少ないと指摘されています。

「厳しく管理する」ことを目指した制度が、かえって大多数の働く人を制度の外に追いやり、健康診断も受けない状態を生んでいる。ギリシャの例は、規制が厳しすぎると逆効果になりうることを示しています。

「独身であること」という条件

許可の条件の中でも特に目を引くのが、結婚している人は働けないという規定です。健康診断や犯罪歴の確認は、公衆衛生や搾取の防止という目的で説明できますが、結婚しているかどうかは、性感染症の予防とも搾取の防止とも直接の関係はありません。この条件は、セックスワークを「家庭の外の存在」として扱ってきた、古い道徳観の名残だといえるでしょう。こうした条件が、許可を取る人がほとんどいない理由のひとつになっているとも考えられます。

制度の目的に照らして、本当に必要な条件は何かを考えることが大切です。

日本との比較

日本では、性風俗で働く人に法律上の検査の義務はありません。一方、ギリシャは15日ごとの検査を義務づけるなど、性感染症対策として非常に厳しい制度を持っています。しかし、その制度が実際にはほとんど使われていないという点で、「制度があること」と「制度が機能していること」は別だと気づかされます。

旅行者が知っておきたいこと

医師からひとこと

ギリシャの制度は、15日ごとの検査という厳しいものですが、検査には感染してから陽性になるまでの空白期間があり、検査を受けていても感染の可能性はゼロにはなりません。どの国でも、コンドームの使用が予防の基本です。海外での性的な接触のあとに気になる症状が出たら、帰国後に泌尿器科や性感染症内科を受診し、渡航先を伝えてください。

参考資料

T
Dr.Taro

性感染症内科医。YouTube「性病医 Dr. Taro」で性の健康について発信中。