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アラブ首長国連邦(UAE)の性風俗事情:売春は重罪で国外退去、それでも同居は2020年に非犯罪化

執筆・監修:Dr.Taro(性感染症内科医)|2026年10月9日

ドバイやアブダビなど、世界中から観光客やビジネスパーソンが集まるアラブ首長国連邦(UAE)。華やかな都市のイメージとは裏腹に、UAEでは売春は厳しく禁止され、関わった人は拘禁刑の対象になり、外国人は刑の執行後に国外退去となるのが原則です。一方で、UAEは2020年以降、刑法を大きく改正し、未婚のカップルの同居を犯罪としないなど、私生活に関するルールを一部緩めてきました。この記事では、UAEの制度と、その変化を、UAE政府の法令や報道をもとに解説します。

法律の基本

2020年の改正:同居の非犯罪化

UAEは2020年、刑法の大きな改正を行い、18歳以上の未婚の男女が同居することを犯罪としないことにしました。それまでは、結婚していない男女の同居や、婚姻外の性的な関係は、刑法上の犯罪とされていました。改正後は、成人どうしの合意にもとづく婚姻外の関係は、配偶者や保護者からの告訴がない限り、処罰の対象にならないとされています。

この改正は、外国人が人口の大部分を占めるUAEで、外国人の生活様式と法律との間のずれを小さくし、観光やビジネスの拠点としての魅力を高める狙いがあったと考えられています。ただし、こうした緩和は、あくまで私生活の関係に関するものであり、売春は引き続き厳しく禁止されています。

外国人労働者と人身取引

UAEの人口の大部分は外国人で、南アジアや東南アジア、アフリカなどから多くの人が働きに来ています。その中には、仕事の内容をだまされて連れてこられ、売春を強いられる人身取引の被害者もいます。米国務省の人身取引報告書は、UAEで性的搾取を目的とした人身取引が起きていると指摘してきました。被害者であっても、在留資格の問題や売春の罪で処罰されるおそれがあるため、助けを求めにくいという課題があります。

観光地のホテルとバー

ドバイなどの観光地では、ホテルのバーやナイトクラブで、性的サービスを持ちかけられることがあるといわれます。しかし、UAEでは売春は重罪であり、客の側も処罰や国外退去の対象になりうるうえ、警察のおとり捜査も行われているとされます。また、SNSや出会い系アプリを通じた勧誘も、サイバー犯罪の法律で厳しく取り締まられています。

イスラム法と近代法の両立

UAEの法律は、イスラム法の価値観を土台にしながら、近代的な刑法の形をとっています。2020年以降の改正は、私生活の自由を一部認める一方で、売春や公共の場でのみだらな行為については、むしろ取り締まりを強めるという、二つの方向を同時に進めたものです。観光とビジネスの国際的な拠点であることと、伝統的な価値観を守ることを両立させようとする、UAEならではの姿勢が表れています。

罰則を強める理由

UAEが売春に関わる行為への罰則を強めてきた背景には、国際的な観光とビジネスの拠点として、組織犯罪や人身取引に厳しく対応する姿勢を示す狙いがあると考えられます。私生活の自由を一部認めることと、性の売買を厳しく取り締まることは、矛盾するように見えて、実は「秩序ある開放」という同じ方向を向いているのです。ただし、厳しい処罰が、人身取引の被害者まで処罰の対象にしてしまわないよう、被害者を見つけ出して保護する仕組みが重要になります。

日本との比較

日本では、売春防止法が売る人や買う人を直接は処罰せず、性交を伴わない性的サービスは風営法の届出制で認められています。UAEでは、売春に関わる行為は拘禁刑の対象となる重い犯罪で、外国人は国外退去にもなります。日本の感覚で行動すると、取り返しのつかない結果になりかねません。

旅行者が知っておきたいこと

医師からひとこと

どの国でも、性的な接触ではコンドームの使用が予防の基本です。海外での性的な接触のあとに、排尿時の痛み、性器や口のできもの、発疹などが出たら、帰国後に泌尿器科や性感染症内科を受診し、渡航先を伝えてください。

参考資料

T
Dr.Taro

性感染症内科医。YouTube「性病医 Dr. Taro」で性の健康について発信中。