CULTURE

世界のストリップ事情:パリのキャバレー、アメリカのストリップクラブ、イギリスの規制

執筆・監修:Dr.Taro(性感染症内科医)|2026年10月5日

裸を見せるショーは、日本のストリップ劇場だけのものではありません。パリには観光名所にもなっている老舗のキャバレーがあり、アメリカには街の郊外に数多くのストリップクラブがあります。ただし、その形や法律の扱い、お金の仕組みは国によって大きく違います。この記事では、世界の主なストリップ事情を、仕組みと法律、働く人の実態という視点から紹介します。

パリ:キャバレーと「芸術としての裸」

パリのモンマルトルには、1889年に開業したキャバレーがあり、スカートを翻して脚を高く上げる「フレンチ・カンカン」で一世を風靡しました。画家のトゥールーズ=ロートレックは、この店の踊り子たちをポスターや絵画に描き、そのポスターは今では美術館に収蔵されるほどの作品になっています。

トゥールーズ=ロートレックのポスター「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」。カンカンを踊る女性と、手前のシルクハットの男性が描かれている
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ」(1891年)。メトロポリタン美術館所蔵。出典:Wikimedia Commons(CC0)

20世紀に入ると、パリのキャバレーでは、豪華な衣装や羽根飾りとともに、トップレスの踊り子が登場するレビューが定番になりました。1950年代には、照明と振り付けで女性の裸体を芸術的に見せることを売りにしたキャバレーも生まれています。これらのショーでは観客が踊り子に触れることはなく、あくまで舞台芸術として、カップルや観光客が食事やシャンパンとともに楽しむ娯楽になっています。

アメリカ:ストリップクラブの仕組み

アメリカのストリップクラブは、日本の劇場とはかなり違う形をとっています。

見落とされがちなのが、ダンサーの働き方です。多くのダンサーは店に雇われた従業員ではなく「個人事業主」として扱われ、出演するたびに店に「ハウスフィー」と呼ばれる場所代を払っています。チップが少ない日は赤字になることもあり、従業員として最低賃金を払うべきだとして、ダンサーが店を訴える裁判が各地で起きてきました。

イギリス:免許制で厳しく管理

イギリスでは、客の目の前で踊る「ラップダンシング・クラブ」が2000年代に急増したことを受けて、2009年の法律で、こうした店を「性的娯楽施設」として自治体の免許制にしました。自治体は地域の店の数に上限を設けることができ、中には上限を「ゼロ」として、新しい店を事実上認めない自治体もあります。

男性ストリッパーと「女性のための」ショー

1970年代末のアメリカでは、女性客を対象にした男性ストリッパーのショーが人気を集め、現在では世界各地で上演されています。独身最後の夜を女友達と過ごす「バチェロレッテ・パーティー」の定番の娯楽にもなっています。

ポールダンスはスポーツにも

ストリップクラブのポールダンスから生まれた技術は、いまやフィットネスや競技スポーツとしても広がっています。筋力と柔軟性を必要とするアクロバティックな技が評価され、国際大会も開かれています。ストリップの文化が、性的な文脈を離れて新しい表現の場を得た例といえます。

海外で行くときに知っておきたいこと

日本との違い

日本のストリップ劇場では、踊り子は舞台の上で踊り、観客は客席から見るのが基本で、観客と踊り子の距離は保たれています。これに対してアメリカのストリップクラブでは、ダンサーが客席を回って会話をし、チップやラップダンスで直接お金のやりとりをするのが特徴で、接客業としての性格が強いといえます。パリのキャバレーは、食事とショーを楽しむ劇場型の娯楽で、カップルや観光客が多く訪れます。同じ「裸を見せるショー」でも、国ごとの法律や文化によって、まったく違う形に発展してきたのです。

医師からひとこと

ステージを見るだけであれば、性感染症のリスクはほとんどありません。ただ、旅先の解放感とお酒の勢いで、その後に別の性的な接触に至る人は少なくありません。海外での性的な接触のあとに、排尿時の痛み、性器や口のできもの、発疹などが出たら、帰国後に泌尿器科や性感染症内科を受診し、渡航先を伝えてください。

参考資料

T
Dr.Taro

性感染症内科医。YouTube「性病医 Dr. Taro」で性の健康について発信中。