日本の風俗はなぜ合法?風営法と売春防止法のしくみをわかりやすく解説
日本では売春が法律で禁止されているのに、街には「風俗店」があり、営業を続けています。これはどういうしくみなのでしょうか。この記事では、風俗に関わる2つの法律「売春防止法」と「風営法」の基本と、利用する側が知っておくべきルール、トラブルや感染症を避けるためのポイントを解説します。なお、この記事は制度の解説を目的としたもので、特定の店舗の紹介や利用を勧めるものではありません。
売春防止法が禁止しているもの
売春防止法(1956年制定)は、売春を「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義し、「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と定めています。
ただし、売春をした本人やその相手(客)を直接罰する規定はありません。罰則の対象になっているのは、売春をさせる側・助ける側の行為です。
- 公衆の目にふれる場所での売春の勧誘
- 売春の周旋(客を紹介・あっせんすること)
- 売春をさせる目的での場所の提供
- 人を自分の管理下において売春させること(管理売春)
罰則がないからといって合法になるわけではなく、売春は法律上「してはならない」行為です。そして、ここでいう「性交」に当たらない性的サービスは、売春防止法の対象外になります。
風営法が定める「性風俗関連特殊営業」
性交を伴わない性的サービスの営業を規制しているのが、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)です。風営法では、こうした営業を「性風俗関連特殊営業」と呼び、主に次のような種類を定めています。
- 店舗型性風俗特殊営業:個室付浴場(いわゆるソープランド)、店舗型ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップなど
- 無店舗型性風俗特殊営業:客のいる場所に従業員を派遣する営業(いわゆるデリバリーヘルス)など
- 映像送信型性風俗特殊営業:インターネットでのアダルト映像の配信など
これらの営業を始めるには、営業所の所在地などを管轄する公安委員会(窓口は警察署)への届出が必要です。届出をすれば何をしてもよいというわけではなく、営業できる地域や時間、広告の方法などに細かな制限があります。たとえば店舗型の性風俗店は、多くの地域で新たな出店が条例により禁止されており、深夜0時から日の出までの営業も禁止されています。
なお、キャバクラやホストクラブなど客を「接待」する飲食店は、風営法上は「風俗営業」という別の区分で、こちらは届出ではなく許可制です。一般に「風俗」と呼ばれる性的サービスの店とは、法律上の扱いが異なります。
18歳未満は絶対に関われない
風営法は、性風俗関連特殊営業で18歳未満の人を客にすることも、従業員として働かせることも禁止しています。さらに、18歳未満の人に対する性的な行為は、児童福祉法や児童買春・児童ポルノ禁止法、各都道府県の条例などで厳しく処罰されます。「年齢を知らなかった」は通りません。
利用する側が知っておきたいルール
届出をしている店かどうか
届出をしていない無届けの店は、それ自体が違法営業です。料金トラブルや盗撮、従業員の違法な働かせ方など、さまざまな問題の温床になりやすく、利用者が事件に巻き込まれるおそれもあります。
サービスの範囲を超えることを求めない
店が定めたサービスの範囲を超えて性交を求めたり、同意のない行為を強要したりすることは、売春防止法の問題にとどまりません。2023年の刑法改正で新設された「不同意性交等罪」「不同意わいせつ罪」に当たる可能性がある、重大な犯罪行為です。相手が仕事として接客していても、同意のない行為が許されるわけではありません。
撮影・録音はしない
相手の同意なく性的な姿を撮影することは、2023年に施行された性的姿態撮影等処罰法で処罰の対象になります。
料金トラブルにあったら
事前の説明と違う高額な請求をされた、脅されたといった場合は、その場で無理に対応しようとせず、警察(緊急時は110番、相談は#9110)に相談してください。
性感染症のリスクと予防
性感染症内科医として、いちばん伝えたいのがここです。性交を伴わないサービスであっても、性感染症のリスクはあります。
- オーラルセックスでもうつる:淋菌、クラミジア、梅毒、ヘルペスなどは、口と性器の接触でも感染します。のどに感染しても症状が出にくく、気づかないまま広げてしまうことがあります
- 梅毒の増加:日本では2022年以降、梅毒の報告数が年間1万人を超える状態が続いています。梅毒は皮膚や粘膜の接触でも感染し、コンドームで覆われていない部分からうつることもあります
- コンドームを使う:オーラルセックスを含め、コンドームの使用は感染のリスクを大きく下げます。完全には防げないことも知っておいてください
- ワクチンで防げるものもある:B型肝炎やHPV(尖圭コンジローマや一部のがんの原因)はワクチンで予防できます。HPVワクチンは男性も接種できます(任意接種)
症状がなくても、不特定の相手との性的な接触があった場合は、定期的に検査を受けることをおすすめします。
こんな症状があれば受診を
排尿時の痛み、尿道からの膿、性器や口のできもの・ただれ、長引くのどの痛み、体に出る発疹などがあれば、性感染症の可能性があります。泌尿器科や婦人科、性感染症内科を受診し、どんな接触があったかを正直に伝えてください。医療者は責めるためではなく、必要な検査を選ぶためにお聞きしています。