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オーラルセックスでうつる性感染症:のどの淋菌・クラミジア、梅毒、ヘルペス、HPV【性病医が解説】

執筆・監修:Dr.Taro(性感染症内科医)|2026年10月6日

「挿入はしていないから性病の心配はない」。性感染症内科の外来で、最もよく聞く誤解の一つです。口による性器への刺激、いわゆるオーラルセックス(フェラチオ、クンニリングス)でも、多くの性感染症がうつります。しかも、のどに感染した性感染症は症状が出にくく、気づかないまま人にうつしてしまいます。この記事では、オーラルセックスでうつる主な性感染症と、予防、検査のポイントを解説します。

オーラルセックスでうつる主な性感染症

病気主なうつり方特徴
淋菌性器→のど、のど→性器のどの感染は症状がほとんどない。薬が効きにくくなっている
クラミジア性器→のど、のど→性器のどの感染は症状がほとんどない
梅毒病変との接触口やのどに痛みの少ない潰瘍ができる。口内炎と間違えやすい
ヘルペス口唇ヘルペス→性器、性器→口口唇ヘルペスのウイルスが、性器ヘルペスの原因になる
HPV性器→口・のど一部の型は、中咽頭がん(のどの奥のがん)の原因になる
HIV精液などを介してオーラルセックスでのリスクは性交に比べてかなり低いが、ゼロではない

のどの淋菌とクラミジア

のどに感染した淋菌やクラミジアは、のどの軽い違和感程度か、まったく症状がないことがほとんどです。そのため、本人が気づかないまま、オーラルセックスのたびに相手の性器にうつしてしまいます。男性の尿道炎の原因として、性風俗でのオーラルセックスは非常に多く見られます。

さらに、のどの淋菌は、性器の淋菌に比べて抗菌薬が効きにくく、治りにくいことが知られています。のどは、薬の効きにくい(耐性の)淋菌が生まれやすい場所とも考えられています。

口唇ヘルペスと性器ヘルペス

唇に水ぶくれができる口唇ヘルペスは、多くの人が感染しているありふれたウイルスによるものです。口唇ヘルペスが出ているときにオーラルセックスをすると、相手の性器にヘルペスをうつすことがあります。近年は、口唇ヘルペスのウイルスによる性器ヘルペスが増えているといわれます。唇にピリピリした感じや水ぶくれがあるときは、オーラルセックスもキスも避けてください。

HPVとのどのがん

子宮頸がんの原因として知られるHPV(ヒトパピローマウイルス)は、オーラルセックスによって口やのどにも感染します。一部の型のHPVは、のどの奥の「中咽頭がん」の原因になり、欧米では、喫煙や飲酒と関係のない、HPVによる中咽頭がんが増えています。オーラルセックスの相手の数が多いほど、リスクが高くなることも報告されています。HPVワクチンは、男性も接種できます。

予防のために

検査のポイント:のどは「別に」調べる

のどの淋菌やクラミジアは、尿や性器の検査では見つかりません。のどの検査は、うがい液やのどのぬぐい液で行います。オーラルセックスをした、された心当たりがある場合は、受診時にそのことを伝え、のどの検査も受けてください。症状がなくても、検査の対象になります。

パートナーの一方が性器の淋菌やクラミジアと診断された場合、もう一方は、性器だけでなくのどの検査も必要です。ピンポン感染を防ぐためには、二人とも、のどを含めて治療を終えることが大切です。

性風俗とオーラルセックス

性交を伴わない性風俗のサービスでは、口によるサービスが中心になることが多く、コンドームはほとんど使われません。働く人は1日に多くの客と接するため、のどに感染した淋菌やクラミジアが、客から働く人へ、働く人から別の客へと、短期間で広がりやすい構造があります。性風俗の利用後に尿道炎になって受診する男性の多くが、「口のサービスだけだった」と話します。オーラルセックスも性行為の一つであり、性感染症のリスクがあると知っておくことが、予防の第一歩です。

また、男性どうしのオーラルセックスや、肛門へのオーラルセックスでも同じように感染が起こります。肛門へのオーラルセックスでは、A型肝炎や赤痢アメーバなど、腸の感染症がうつることもあります。

こんな症状があれば受診を

オーラルセックスのあとに、排尿時の痛みや尿道からの膿、性器や唇の水ぶくれ、口やのどの潰瘍、長引くのどの痛みなどが出たら、泌尿器科、婦人科、性感染症内科、耳鼻咽喉科を受診してください。症状がなくても、気になる場合は適切なタイミングで、のどを含めた検査を受けることをおすすめします。

参考資料

T
Dr.Taro

性感染症内科医。YouTube「性病医 Dr. Taro」で性の健康について発信中。