風俗店の業態ガイド:ソープ、ヘルス、デリヘル、ピンサロは何が違う?【医師が解説】
ひと口に「風俗」といっても、ソープランド、ファッションヘルス、デリヘル、ピンサロ、セクキャバなど、業態はさまざまです。名前は聞いたことがあっても、法律上どう分類され、何が許されていて何が許されていないのかを正確に知っている人は多くありません。この記事では、日本の主な風俗の業態を、法律上の位置づけと性感染症のリスクという2つの視点から整理します。なお、個別の店舗の紹介はしません。
まず押さえたい「法律上の3つの区分」
風俗に関わる営業は、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)でおおまかに次のように分けられています。
| 区分 | 開業の手続き | 主な業態 |
|---|---|---|
| 店舗型性風俗特殊営業 | 公安委員会への届出 | ソープランド、店舗型ヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップ など |
| 無店舗型性風俗特殊営業 | 公安委員会への届出 | デリバリーヘルス(デリヘル)、ホテヘル など |
| 風俗営業(接待飲食等) | 公安委員会の許可 | キャバクラ、ホストクラブ など |
性的なサービスを提供する店は「性風俗関連特殊営業」として届出制、客を接待して飲食させる店は「風俗営業」として許可制です。どちらも18歳未満を客にすることも、従業員として働かせることもできません。法律の全体像は日本の風俗はなぜ合法?で解説しています。
業態ごとの特徴
ソープランド
風営法上は「個室付浴場業」として届出される店舗型の営業です。個室に浴室があり、入浴の介助を含むサービスを行うという形をとっています。かつては「トルコ風呂」と呼ばれていましたが、1984年、在日トルコ人留学生の抗議をきっかけに現在の名称に改められました。店内で性交が行われているとたびたび指摘され、売春防止法との関係で「法的にグレー」といわれ続けている業態です。新規の出店は多くの地域で条例により禁止されており、吉原(東京)、雄琴(滋賀)、すすきの(札幌)など、営業できる地域が限られています。
ファッションヘルス(店舗型ヘルス)
個室で、手や口などによる性的なサービスを行う店舗型の営業です。性交は行わないことが前提です。店舗型の性風俗店は新規出店の規制が厳しく、店舗の数は減る傾向にあります。
デリヘル・ホテヘル(無店舗型)
デリヘルは、客の自宅やホテルに従業員を派遣する営業で、現在の風俗の主流になっています。ホテヘルは、受付所で料金を払ったあと近くのホテルで合流する形式で、法律上は無店舗型として扱われます。店舗を構えなくてよいため開業しやすい一方、無届けの業者が紛れやすい業態でもあります。
ピンサロ(ピンクサロン)
飲食店の形をとりながら、店内の客席などで性的なサービスを行う業態です。性風俗店としての届出ではなく、飲食店や接待飲食店の許可で営業していることが多く、店内での性的サービスは本来の許可の範囲を超えるため、法的にはグレー、あるいは違法とされることがあります。摘発のリスクがある業態だと知っておいてください。
セクキャバ(セクシーキャバクラ)
キャバクラと同じ「接待飲食」の許可で営業し、接客の中で体への接触がある業態です。許可の範囲を超える性的な行為は、風営法や公然わいせつなどで摘発の対象になることがあります。
ストリップ劇場
舞台で踊り子が裸を見せる興行で、店舗型性風俗特殊営業の一つです。公演の内容によっては公然わいせつ罪で摘発された例もあります。最盛期に比べて劇場の数は大きく減っています。
「メンズエステ」は風俗ではない
いわゆるメンズエステは、本来はマッサージなどのリラクゼーションを提供する店で、性風俗店としての届出はしていません。そのため、店内で性的なサービスを行えば違法営業になります。「風俗ではないから安心」ではなく、「性的サービスがあれば違法」と理解してください。
業態ごとの性感染症リスク
性感染症内科の外来では、「性交はしていないのに感染した」という相談がよくあります。性交をしないサービスでも、リスクはゼロではありません。
- オーラルセックス(口による性的サービス):淋菌、クラミジア、梅毒、ヘルペスなどが、性器からのどへ、のどから性器へと感染します。のどの感染は症状が出にくく、気づかないまま広がります
- 皮膚や粘膜の接触:梅毒や尖圭コンジローマ、ヘルペスは、病変のある部分との接触でうつります。コンドームで覆われていない部分からも感染します
- 性交を伴う場合:HIV、B型肝炎を含め、すべての性感染症のリスクがあります
どの業態でも、コンドームの使用(オーラルを含む)がリスクを下げる基本です。HPVやB型肝炎はワクチンで予防できます。
利用する前に知っておきたいこと
- 届出をしていない店、許可の範囲を超えるサービスをうたう店は、摘発や料金トラブル、盗撮などに巻き込まれるリスクが高い
- 相手が同意していない行為を求めることは、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪になりうる犯罪行為
- 路上の客引きについていかない。多くの自治体で客引き行為は条例で禁止されている
- 飲酒しすぎない。判断力が落ちると、トラブルにも感染予防の失敗にもつながる
こんな症状があれば受診を
利用後に、排尿時の痛み、尿道からの膿、のどの痛みの長引き、性器や口のできもの、体の発疹などが出たら、性感染症の可能性があります。泌尿器科や性感染症内科を受診し、どんなサービスだったかを正直に伝えてください。オーラルセックスがあった場合は、のどの検査も必要です。症状がなくても、気になる接触のあとは適切なタイミングで検査を受けましょう。