ハプニングバーとは:仕組み、なぜ摘発されるのか、性感染症のリスク【医師が解説】
ハプニングバー、通称「ハプバー」は、客どうしが店内で性的な行為に及ぶことがある、いわば「何かが起こるかもしれない」バーです。店が性的サービスを提供するわけではなく、その場に居合わせた客どうしが合意すれば行為に及ぶ、という点が他の性風俗と大きく異なります。しかし、その営業はたびたび警察に摘発され、客まで逮捕されることがあります。この記事では、ハプニングバーの仕組み、法律上の問題、そして性感染症内科医として伝えたいリスクを解説します。個別の店舗の紹介はしません。
ハプニングバーの仕組み
- 会員制のバー:多くは雑居ビルやマンションの一室で営業し、初回に身分証を提示して会員登録をします
- 料金は客の属性で違う:単独の男性客は高く、カップルは安く、単独の女性客は無料か非常に安い、という料金設定が一般的です。男女の人数のバランスをとるための仕組みです
- 店内の構成:酒を飲みながら会話をするバーカウンターのスペースと、行為に及ぶための「プレイルーム」が分かれていることが多く、プレイルームの様子を外から見られる構造の店もあります
- 店のルール:無理強いの禁止、撮影の禁止、コンドームの使用などのルールを定めている店が多いといわれます
店の従業員が性的サービスをすることはなく、店は「場所」を提供しているだけ、という建前です。性的なことが何も起こらず、会話だけで帰る客もいます。
なぜ摘発されるのか:公然わいせつ罪
ハプニングバーが摘発されるときの主な罪名は、刑法の公然わいせつ罪です。公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識できる状態で、わいせつな行為をすることを処罰するものです。
店内で、ほかの客から見える状態で性行為をすれば、「多数の人が認識できる状態」に当たるとされ、行為をした客が公然わいせつ罪、それを手助けした店の経営者や従業員が公然わいせつのほう助罪などに問われます。会員制の店であっても、会員どうしで見せ合う状態であれば「公然」と判断されることがあります。実際に、各地でハプニングバーが摘発され、店内にいた客が現行犯逮捕された例が報道されています。
また、店が性行為の場を提供して利益を得ていることから、風営法違反などが問題にされることもあります。つまり、ハプニングバーは、利用する客自身が逮捕されるリスクを負う場所だと理解しておく必要があります。
スワッピングや乱交パーティーとの違い
カップルが互いのパートナーを交換する「スワッピング」や、複数人での性行為を目的とした「乱交パーティー」も、ハプニングバーと同じ文化の中にあります。個人の自宅などで、合意した参加者だけで行う場合でも、参加者を不特定多数から募集して金銭を集めるようなパーティーは、公然わいせつや、場合によっては売春防止法違反(場所の提供など)で摘発された例があります。
同意とトラブル
- 「その場の雰囲気」は同意ではない:ハプニングバーにいる、プレイルームに入った、ということは、性行為への同意を意味しません。行為の内容ごとに、言葉で確認することが必要です
- 酒の影響:酩酊した状態での行為は、同意の有無が問題になり、不同意性交等罪などに問われる可能性があります
- 盗撮:撮影禁止のルールがあっても、隠し撮りの被害が起こりえます。撮影された映像が流出すれば、取り返しがつきません
- 身元が知られるリスク:会員登録で身分証を提示するため、個人情報の管理に不安がある店は避けるべきです。摘発されれば、報道などで名前が出る可能性もあります
性感染症のリスクが非常に高い
性感染症内科医として、ハプニングバーや乱交パーティーについて強く伝えたいのは、性感染症のリスクの高さです。
- 一晩に複数の相手と性的な接触をする可能性がある
- 相手の性感染症の有無や検査歴が分からない
- 酒の勢いで、コンドームを使わない、途中で外す、付け替えない、といったことが起こりやすい
- 相手が変わるたびにコンドームを付け替えなければ、前の相手の感染症を次の相手にうつす「仲介役」になってしまう
- オーラルセックスでは、コンドームを使わないことがほとんど
複数の人が関わる場では、一人の感染が短期間に多くの人に広がります。梅毒や淋菌、クラミジア、HIVの集団感染のきっかけになりうる場所です。
どうしても行くなら
- 自分で持参したコンドームを使い、相手が変わるごと、行為が変わるごとに付け替える
- 酒を飲みすぎない。薬物には絶対に関わらない(ケムセックスの危険)
- 嫌なことは、その場ではっきり断る。断られたら、すぐに引く
- 摘発のリスクがあることを理解しておく
こんな症状があれば受診を
複数の相手との性的な接触のあとは、症状がなくても適切なタイミングで、性器、のど、必要に応じて直腸の検査と、梅毒・HIVの血液検査を受けてください。排尿時の痛み、性器や口のできもの、発疹、のどの痛みの長引きなどがあれば、すぐに泌尿器科、婦人科、性感染症内科を受診してください。HIVの感染リスクの高い行為から72時間以内であれば、予防の薬(PEP)を使える可能性があります。