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ED治療薬の正しい知識:種類と違い、効き方、危険な飲み合わせ、偽造品に注意【医師が解説】

執筆・監修:Dr.Taro(性感染症内科医)|2026年10月6日

ED(勃起不全)は、決して珍しい悩みではありません。年齢とともに増え、中高年の男性では多くの人が何らかの勃起の悩みを抱えているとされます。ED治療薬は、正しく使えば安全で効果の高い薬ですが、「飲めば勃つ精力剤」のような誤解や、危険な飲み合わせ、ネットで出回る偽造品の問題もあります。この記事では、ED治療薬の種類と違い、効き方、注意点を医師の立場から解説します。特定の医療機関や商品の紹介ではありません。

勃起のしくみとED

性的な刺激を受けると、陰茎の血管を広げる物質が放出され、陰茎の海綿体に血液が流れ込んで勃起が起こります。EDは、この流れのどこかがうまくいかず、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態です。原因には、動脈硬化などの血管の問題、糖尿病などによる神経の障害、ホルモンの変化、薬の副作用、そしてストレスや不安などの心理的な要因があり、多くの場合はいくつかが重なっています。

ED治療薬の種類

現在日本で使われている主なED治療薬は、「PDE5阻害薬」と呼ばれる種類の薬です。血管を広げる物質を分解する酵素(PDE5)の働きを抑えることで、勃起を起こしやすく、維持しやすくします。

成分名特徴
シルデナフィル最初に登場したED治療薬。効果は数時間持続。食事、特に脂っこい食事の影響を受けやすい
バルデナフィル効果が比較的早く現れるとされる。食事の影響はシルデナフィルより受けにくい
タダラフィル効果の持続時間が長く、1日半程度続くとされる。食事の影響を受けにくい

シルデナフィルは1998年にアメリカで承認され、日本でも翌年に承認されました。現在は、いずれの成分にも価格の安い後発医薬品(ジェネリック)があります。

よくある誤解

「飲めば勝手に勃起する」

ED治療薬は、性的な刺激があったときに勃起を起こしやすくする薬で、飲んだだけで勃起するわけではありません。また、性欲そのものを高める「媚薬」でもありません。

「量を増やせばもっと効く」

決められた量を超えて飲んでも、効果はほとんど増えず、副作用が強くなるだけです。

「若い人には関係ない」

20〜30代でも、緊張や不安による心因性のEDに悩む人は少なくありません。医師の判断のもとで、ED治療薬が役立つこともあります。

主な副作用

頭痛、顔のほてり、鼻づまり、動悸、胃のむかつきなどがよくみられます。多くは軽く、薬の効果が切れるとおさまります。シルデナフィルでは、一時的に物が青みがかって見えることがあります。まれですが、4時間以上勃起が続く場合(持続勃起症)は、陰茎の組織が傷つくおそれがあるため、すぐに救急外来を受診してください。

絶対に避けるべき飲み合わせ

ED治療薬で最も注意が必要なのは、硝酸薬との併用です。狭心症の治療に使うニトログリセリンなどの硝酸薬と一緒に使うと、血圧が急激に下がり、命に関わることがあります。いわゆる「ラッシュ」などの亜硝酸エステル類も同じ作用があり、非常に危険です(薬物とセックスの危険)。このほか、一部の肺高血圧症の薬や、重い心臓病、最近の脳卒中や心筋梗塞がある人など、ED治療薬を使えない人がいます。必ず医師の診察を受け、服用中の薬をすべて伝えてください。

ネットの「ED治療薬」は偽造品だらけ

インターネットの個人輸入サイトなどで販売されている「ED治療薬」には、偽造品が多いことが、製薬会社などの調査で繰り返し指摘されています。偽造品には、有効成分が入っていない、量が不正確、不純物や別の成分が混ざっている、といった問題があり、健康被害の報告もあります。ED治療薬は、医療機関で処方を受けるのが安全です。最近は、オンライン診療で処方を受けられる医療機関も増えています。

費用と保険

ED治療薬は、原則として健康保険が使えない自費診療です。ただし、2022年からは、男性不妊の治療の一環としてED治療薬を使う場合など、一部で保険が適用されるようになりました。

EDは体からのサインかもしれない

EDは、心臓病や脳卒中の原因になる動脈硬化の初期のサインであることがあります。陰茎の血管は細いため、全身の血管の異常が先に現れやすいと考えられているのです。EDをきっかけに受診して、高血圧、糖尿病、脂質異常症が見つかることもあります。「年のせい」と片づけず、ED治療薬を使う前に一度、体全体の健康を見直す機会にしてください。

薬以外の治療と生活習慣

ED治療薬が効かない、使えないという人には、陰茎に直接薬を注射する方法や、陰圧で陰茎に血液を集める器具、手術などの選択肢もあります。また、禁煙、適度な運動、体重の管理、飲酒を控える、睡眠をしっかりとるといった生活習慣の改善が、勃起の機能の改善につながることも知られています。

こんなときは受診を

勃起の悩みが続く場合は、泌尿器科で相談できます。胸の痛みや息切れ、高血圧や糖尿病を指摘されている場合は、ED治療薬を使う前に必ず医師に伝えてください。服用後に胸の痛みや強いめまいがあった場合、勃起が4時間以上続く場合は、すぐに救急外来を受診してください。

参考資料

T
Dr.Taro

性感染症内科医。YouTube「性病医 Dr. Taro」で性の健康について発信中。