早漏はどこからが病気?定義、原因、自分でできるトレーニングと治療【医師が解説】
「すぐにイッてしまう」という悩みは、男性の性の悩みの中でも特に多いものの一つです。けれども、どのくらいの時間で射精すると「早漏」なのか、正しく知っている人は多くありません。アダルト動画の長い性行為を基準にして、必要以上に悩んでいる人もいます。この記事では、早漏の医学的な定義と原因、自分でできるトレーニング、医療機関での治療について解説します。
早漏の医学的な定義
国際的な性医学の学会は、早漏を次のように定義しています。
- 生まれつき(性体験の初めから)の早漏:腟への挿入から射精まで、ほぼ毎回およそ1分以内
- あるときから起きるようになった早漏:以前より明らかに短くなり、およそ3分以内になった
- そのうえで、射精を自分でコントロールできないこと
- そして、そのことで本人が苦痛を感じたり、パートナーとの関係に悩みが生じたりしていること
つまり、時間が短いだけでなく、「コントロールできない」「それで困っている」ことがそろって、はじめて治療の対象になる早漏とされます。
実際の「平均」はどのくらい?
5か国の約500人の男性を対象に、ストップウォッチで測定した研究では、腟への挿入から射精までの時間の中央値は5.4分でした。ただし、個人差は非常に大きく、約30秒の人から40分を超える人までいました。アダルト動画のような長時間の性行為は、編集や演出によるもので、現実の基準にはなりません。
また、パートナーの満足度は、挿入の時間の長さだけで決まるものではありません。多くの女性は、オーガズムにクリトリスへの刺激を必要とします(オーガズムとはなにか)。挿入の前後の触れ合いを大切にすることで、挿入の時間にこだわらなくても、お互いに満足できるセックスは十分に可能です。
早漏の原因
- 体質や神経の感受性:生まれつきの早漏には、脳の神経伝達物質(セロトニン)の働きなど、体質的な要因が関わっていると考えられています
- 心理的な要因:緊張、不安、「また早く終わってしまうのでは」という予期不安が、さらに射精を早める悪循環をつくります
- 勃起の問題(ED):勃起が続かないことへの焦りから、無意識に早く射精しようとしてしまうことがあります
- 病気:前立腺炎や甲状腺の病気が、あるときから起きた早漏の原因になることがあります
- マスターベーションの習慣:短時間で射精することに慣れていると、その習慣が影響することがあるといわれます
自分でできるトレーニング
ストップ・スタート法
マスターベーションやパートナーとの性行為の中で、射精しそうになったら刺激を止め、射精の感覚がおさまったら再開する、ということを繰り返します。射精の直前の感覚に気づき、コントロールする練習です。
スクイーズ法
射精しそうになったら、陰茎の亀頭のすぐ下を、指で数秒間しっかり圧迫して射精の感覚をおさめる方法です。パートナーに協力してもらうこともできます。
骨盤底筋のトレーニング
尿を途中で止めるときに使う筋肉(骨盤底筋)を、意識して締めたりゆるめたりするトレーニングが、射精のコントロールに役立つという報告があります。
そのほかの工夫
- 厚めのコンドームを使って、刺激を少し弱める
- 体位を工夫する。挿入する側が下になると、刺激をコントロールしやすいといわれます(体位の選び方)
- パートナーと悩みを共有する。隠そうとする緊張そのものが、早漏を悪化させることがあります
医療機関での治療
泌尿器科などでは、次のような治療が行われることがあります。
- 飲み薬:うつ病などに使われるSSRIという種類の薬に、射精を遅らせる作用があることが知られており、医師の判断で使われることがあります。海外では早漏の治療薬として承認されている薬もありますが、日本では承認されていないものもあります
- 塗り薬・スプレー:局所麻酔の成分で、陰茎の感覚を少し鈍くする方法です。パートナーの性器にも麻酔の成分がつかないよう、使い方に注意が必要です
- EDの治療:EDが背景にある場合は、ED治療薬で改善することがあります(ED治療薬の正しい知識)
- カウンセリング:心理的な要因が大きい場合や、パートナーとの関係の悩みがある場合に役立ちます
ネットで売られている「早漏防止」の個人輸入薬には、成分の不確かなものや偽造品もあります。薬は医療機関で処方を受けてください。
パートナーができること
早漏に悩む男性のパートナーができることもあります。責めたり、からかったりしないこと。挿入の時間ではなく、触れ合い全体を楽しむ姿勢を伝えること。トレーニングに協力すること。男性が「早く終わってしまう」ことへの不安から解放されると、それだけで改善することも少なくありません。二人の問題として向き合うことが、いちばんの近道です。
こんなときは受診を
以前は問題なかったのに急に早くなった、射精のときに痛みがある、排尿の症状や会陰部の痛みがある、といった場合は、前立腺炎などの病気が隠れていることがあるので、泌尿器科を受診してください。早漏そのものの悩みも、泌尿器科で相談できます。恥ずかしい悩みではなく、多くの男性が抱える、治療の方法がある悩みです。