女性のセルフプレジャー:体のしくみ、始め方、清潔に楽しむためのポイント【医師が解説】
女性のマスターベーション(セルフプレジャー)は、男性のそれに比べて語られることが少なく、「女性がするのは恥ずかしいこと」「したことがない」と感じている人も少なくありません。しかし、セルフプレジャーは性別を問わず、自分の体を知り、心地よさを大切にするための自然な行為です。この記事では、女性の性器のしくみ、セルフプレジャーの基本、清潔に楽しむためのポイント、気をつけたい体のサインを、医師の立場から解説します。
まずは体のしくみを知る
女性の外性器(外陰部)は、外から見える部分だけでもいくつかの部位に分かれています。
- 大陰唇・小陰唇:外陰部を左右から包むひだ。形や大きさ、色には大きな個人差があり、左右で違うことも普通です
- クリトリス(陰核):小陰唇が前方で合わさる部分にある、とても敏感な器官。表面に見えるのは先端のごく一部で、内部には腟を両側から包むように大きく広がっています
- 尿道口:クリトリスと腟口の間にある、尿の出口
- 腟口:腟の入り口
鏡を使って、自分の外陰部を見てみるのも、体を知るよい方法です。
セルフプレジャーの基本
多くの女性にとって、快感の中心になるのはクリトリスです。腟への挿入でなければいけない、ということはまったくありません。
- 外側から始める:クリトリスの周りや外陰部を、指でやさしくなでたり、円を描くように触れたりするところから始める人が多いようです。クリトリスの先端は敏感すぎて、直接触れると痛く感じる人もいます。その場合は、包皮の上から、または周りから触れてみましょう
- 潤滑剤を使う:乾いた状態でこすると、ヒリヒリしたり、小さな傷ができたりします。体の潤いが少ないときは、水溶性の潤滑剤を使うと快適です
- リラックスできる環境で:時間に追われず、人目を気にしなくてよい環境のほうが、体の反応を感じやすくなります
- トイを使う:振動するローターや、空気の圧力で刺激する吸引型のトイなどを使う人も増えています(セックストイの種類と選び方)
- 腟への挿入は無理に試さなくてよい:試す場合は、清潔な指や、挿入用に作られたトイを使い、痛みがあればやめてください
オーガズムに達しなくても、心地よさを感じられればそれで十分です。オーガズムは、練習や慣れで感じやすくなることもあります(オーガズムとはなにか)。
清潔に楽しむためのポイント
- 手を洗い、爪を短く整える:外陰部や腟の粘膜はデリケートです。爪の傷や手の汚れは、炎症や感染の原因になります
- 肛門に触れた指やトイを、そのまま腟に使わない:腸内細菌が腟に入ると、細菌性腟炎や膀胱炎の原因になります
- トイは使う前と後に洗う:使ったあとはすぐに洗って、完全に乾かしてから保管します(トイの正しい洗い方)
- 終わったら排尿する:尿道から細菌が入るのを防ぐために、セックスのあとと同じように、終わったらトイレに行くことが勧められます
- 外陰部を洗いすぎない:石けんでゴシゴシ洗ったり、腟の中まで洗ったりすると、腟を守っている常在菌のバランスが崩れ、かえってトラブルの原因になります。外陰部はぬるま湯でやさしく洗う程度で十分です
よくある心配
「しすぎると体に悪い?」
回数に医学的な上限はありません。痛みや傷がなく、生活に支障がなければ、回数を心配する必要はありません(マスターベーションの誤解)。
「形が変わる、色が黒くなる?」
セルフプレジャーで外陰部の形や色が変わることはありません。外陰部の形や色は、もともとの個人差、年齢、ホルモンの影響によるものです。
「パートナーがいるのにするのは変?」
パートナーがいてもセルフプレジャーをするのは、ごく一般的なことです。自分の心地よいポイントを知っていることは、パートナーとのセックスで「こうしてほしい」と伝えることにも役立ちます。
「生理中はしてもいい?」
生理中でも問題はありません。手やトイを清潔にし、タオルなどを敷いておくとよいでしょう。オーガズムで子宮の収縮が起こり、生理痛がやわらいだと感じる人もいます。
罪悪感を手放す
「女性がマスターベーションをするのは恥ずかしい」と感じる背景には、女性の性欲は控えめであるべきだという、社会の古い価値観があります。けれども、海外の調査では、多くの女性がセルフプレジャーの経験があると答えています。自分の体に触れることは、体の変化や異常に早く気づくことにもつながります。誰かに話す必要はありませんが、自分を責める必要もまったくありません。
こんな症状があれば受診を
- 外陰部のかゆみ、痛み、腫れが続く
- おりものの量や色、においが変わった
- 外陰部にできものや、治らない傷がある
- 排尿時に痛む、トイレが近い(膀胱炎の可能性)
- 腟に入れたものが取れなくなった(恥ずかしがらず、すぐに受診を)
こうした症状は、婦人科で相談できます。セルフプレジャーのことを医師に話すのは恥ずかしいかもしれませんが、診察に必要な情報です。医師にとってはよくある相談なので、安心して伝えてください。