日本人が海外で性風俗を利用するとき、合法なのはどの国か:法律から見るガイド
海外旅行や出張の際に、現地の性風俗を利用することは法律上どうなのか。このテーマについては、ネット上に不正確な情報も多く出回っています。この記事では、まず日本の法律で何が罰せられるのかを確認し、そのうえで、現地の法律で客が処罰されない国と、客も処罰される国を、「各国の性風俗事情」シリーズで調べた内容をもとに整理します。性風俗の利用を勧めるものではありません。個別の店の紹介もしません。法律と健康のリスクを正しく知るための記事です。
まず日本の法律:成人相手なら日本では罰せられない、未成年は国外でも処罰
- 売春防止法:売春防止法は「売春」を禁止していますが、買う人を処罰する規定はありません。そのため、海外で成人から性的サービスを買ったことを理由に、日本の法律で処罰されることはありません
- 児童買春禁止法:一方、18歳未満の人に対価を払って性交などをする「児童買春」は、5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象です(4条)。そして、この罪は日本国民が国外で行った場合にも適用されます(10条、国民の国外犯)。海外で未成年を買えば、帰国後に日本で処罰されうるのです
相手が「18歳以上だと思った」としても、言い訳にはなりにくいことを知っておく必要があります。年齢を偽って働かされている未成年がいる国もあります(バングラデシュの性風俗事情)。
現地の法律で客が処罰されない国・地域
| しくみ | 主な国・地域 | 注意点 |
|---|---|---|
| 合法化して管理 | ドイツ、オランダ、オーストリア、スイス | 登録・許可を受けた店で働く人が対象。地域ごとのルールあり |
| 非犯罪化 | ニュージーランド、ベルギー、オーストラリアのニューサウスウェールズ州・ビクトリア州 | オーストラリアは州ごとに制度が違う |
| 許可された場所だけ合法 | ギリシャ(許可を受けた売春宿)、アメリカ・ネバダ州の一部の郡、トルコ(国の許可を受けた売春宿) | それ以外の場所での売買は違法 |
| 売買そのものは違法でない | デンマーク、チェコ、スペイン、ポルトガル、コロンビア、ブラジル、ウルグアイなど | 売春宿やあっせんが違法な国が多い |
いくつか具体的なルールを挙げます。
- ドイツ:2017年施行の売春者保護法は、性交や口腔性交などでのコンドームの使用を義務づけています。違反した客には最高5万ユーロの過料が科されることがあります(ドイツのFKK)
- オランダ:国の最低年齢は18歳ですが、アムステルダムでは2013年から21歳以上でなければ働けません(アムステルダムの飾り窓)
- オーストラリア:ニューサウスウェールズ州は1995年に、ビクトリア州は2023年12月にほぼ全面的に非犯罪化を完了しました。一方、ほかの州では制度が異なります
- アメリカ:合法なのはネバダ州の一部の郡にある許可を受けた売春宿だけで、ラスベガスのある郡では違法です(ネバダ州の合法売春宿)
客が処罰される国:観光客も対象
- 北欧モデル(買う側を処罰):スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、フランス、アイルランド、イギリスの北アイルランド、イスラエル、カナダ、アメリカのメイン州など。外国人観光客も処罰の対象です
- 売る側と買う側の両方を罰する:リトアニア、セルビア、アルバニア、モルドバ、ベトナムなど
- 婚姻外の性的関係そのものが犯罪:サウジアラビア、イラン、モロッコなど、中東・北アフリカの多くの国。UAEでも売春に関わる行為は重罪で、外国人は国外退去になることもあります(UAEの性風俗事情)
「店が多い=合法」ではない
タイやフィリピンは、性風俗の店が目立つことで知られていますが、法律上は売春は違法です(タイの性産業、フィリピンの性風俗事情)。黙認されているように見えても、取り締まりや、それを口実にした恐喝に巻き込まれるおそれがあります。中国では、売る人も買う人も行政罰の対象です(中国の性ビジネス)。また、韓国でも性の売買は違法です(韓国の性売買特別法)。
合法な国でも気をつけること
- 人身取引:合法化された国の市場にも、人身取引の被害者が入り込んでいることがあります。働く人が怯えている、言葉が通じない、パスポートを持っていない様子があるなど、強制が疑われる場合は利用しないでください
- 年齢:未成年が関わっている疑いがあれば、絶対に関わらないこと
- トラブル:料金をめぐるトラブル、睡眠薬を使った強盗、盗難などの被害が各国で報告されています
- 入国審査:現地で逮捕されると、その後の入国やビザの審査に影響するおそれがあります
- 法律は変わる:この記事は2026年10月時点の情報です。渡航前に最新の情報を確認してください
医師からひとこと
合法な国でも、性感染症のリスクは変わりません。健康診断を受けている相手でも、感染してから検査で陽性になるまでの空白期間があります。コンドームは性交だけでなく、オーラルセックスでも使うのが原則です。コンドームが破れたなど、HIVの感染の危険が高い接触があった場合は、72時間以内に抗HIV薬を飲み始める「曝露後予防」という方法があるので、すぐに医療機関に相談してください。帰国後は、症状がなくても、接触から一定期間をおいて梅毒、HIV、クラミジア、淋菌の検査を受けることをおすすめします。受診の際は渡航先を伝えてください。